大阪訴訟判決について
平成18年6月21日、薬害肝炎訴訟大阪訴訟の判決の言い渡しが行われ、大阪第一次訴訟原告13名中9名の損害賠償請求を認容し(認容総額2億5630万円)、国および企業の責任を認めました。
薬害肝炎訴訟全国原告団および弁護団は、本判決に関し、国および企業の損害賠償責任を認めた点を評価するとともに、損害賠償請求権の成立要件を狭く解し、一部原告について、敗訴とした点については不当との考えを表明いたします。
判決時の様子(写真をクリックすると拡大画像が表示されます。)
ところで、本判決は国の薬事行政に対する責任を厳しく断罪し、国の賠償責任を否定した部分についても、同様に国の対応を厳しく批判しました。
具体的には、昭和39年のフィブリノゲン製剤の承認時に関しては、「フィブリノゲン製剤の製造承認申請にあたり提出された臨床実験試料は、医薬品製造指針の要求する症例数の不足の疑いがあること、粗雑な資料があることなどから、ずさんと評価すべき点が多々含まれていたことは否定できない」と断じています。
また、血液凝固第�\因子製剤についても、輸入承認申請資料には多々の問題点があり、杜撰といえるとも述べています。
昭和53年までの国の対応についても、国がフィブリノゲン製剤を第1次再評価手続において再評価指定しなかったことを、「遅くとも昭和53年10月16日の再評価指定が行われるべきであったものであり、これを行わなかったことについて、合理的な理由があったとはいえない」としました。
さらに、アメリカFDAの承認取消し情報に際し、何の対応も取らなかったことについては、「厚生省は、海外情報を収集する手段があったにもかかわらず、上記FDAに関する貴重な情報を収集、検討しなかったものであり、医薬品の安全性を確保するという立場からは、ほど遠い、お粗末な面が認められ、その意識の欠如ぶりは非難されるべきである」と断罪しています。
このように、判決は、責任を肯定した部分のみならず、責任を否定した判示部分においても、国に対して医薬品評価の在り方について、重大な反省を迫っているといえます。
国と製薬企業は,本判決で指弾された法的責任に基づき薬害によってC型肝炎に罹患した患者を救済しなければならないことはもちろん,判決は、この血液行政・医療行政の誤りについて明確に国の責任を認めたものに他ならず、国は一刻も早く、350万人とも言われるウイルス性肝炎感染者を救済すべき義務があります。
平成18年6月21日
薬害肝炎訴訟全国弁護団
大阪判決全文
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